今日、という日はいつも移り変わっていく。
時の流れと一緒に寄り添って。
時には速く。時にはゆっくり。

今日、はやっぱり1日しかないのに。
毎年、同じ日付はやっぱり存在して。
私達は、毎日を過ごして行く中で。
"今日"を、待ち望んでいるよ。







〜7の月、7日。〜







ノストラダムスの予言は、外れたというのに。
あの時感じた恐怖は、未だに留まり続けているのだろうか?

今日は、7月7日。
あの7の月ではないのに、私にの胸には、謂れのない孤独と恐怖が満ちている。
七夕は、織姫と彦星が再会する、ロマンチックな日のはずなのに。
どうしてこんなに暗い夜なのだろう?
空一面が、分厚い雲で覆われていて。
年に1度の再会を…嘲笑っているみたいな天気。


今日は織姫と彦星に見せ付けながら、Lと花火をする約束なのに。
どうして、こんな天気なんだろう?





…どうして、私は1人なんだろう?





真っ暗な公園の、隅のベンチで、1人きり。
まだ、約束の時間の前だから、当然かもしれないけれど。



1人きり。

1人ぼっち。

孤独感、溢れてくる。



家で、頑張って着込んできた浴衣が風に靡く。
私の浴衣だけ、私だけ、色が付いた世界。
取り囲むモノクロの世界で、必死に耐えている。



早く、来て。

早く早くはやくはやく…。



「L…早く会いたいよ…早く…来て…。」


別に、織姫と彦星ほど…会えない訳じゃないんだけど。
それでも、そう呟いてしまうのは…我侭じゃないよね…?

お仕事で忙しいよね、Lは。
それでも今日はこんな夜だから。

会いたいよ、…君に会いたいよ。

声が、笑顔が、温もりが恋しいよ。





ちゃんと約束をしたから、会える事は分かってるのに。

それでも、早くって、想う自分に苦笑した。



あぁ。やっぱり、こんなにも私はLを好きなんだ。



会いたいよ、…Lに会いたいよ。



全身全霊で、Lを求めてる。



こんなこと、今まで感じたこと無かったよ。



これが、愛する…って気持ちかな…。





周りの暗い世界に押しつぶされそうになって、少し、下を向く。
Lがいつもしているみたいな座り方。
真似っこしながら、時間を潰していた。










「L…今すぐ会いたい…」

「呼びました?」


幾度目かの呼びかけが闇に吸い込まれた。
…と、思ったのに、急に後ろから抱きすくめられた。
吃驚したまま、その場に固まった私の耳に、もう一度言葉が降ってくる。


「時間に遅れてしまって、すみません。…怒ってますか?」





優しい声、ちょっと心配そう。

回された腕、少し汗に濡れてる。

伝わる鼓動、…早鐘みたいに…。





…?」


返事のない私を心配したのかLは正面に回り込んで、私の顔を覗き込む。





近づく顔、汗が滲んでる。

大きな瞳、不安に揺れてる。

綺麗な手、微かに震えてる。





「L…」





胸が熱くて、苦しくて、今にも張り裂けそうだよ。





想いと共に、座っていたベンチから舞い降りて。
私はそのままLの腕の中に身体を預ける。
訳が分かっていないのに、抱き返すLの腕は優しくて。
さっきまでの孤独も、恐怖も全部溶けてしまった。
…涙と一緒に、流れてしまった。





貴方を、身体で、心で、感じられたから。





「1人にして、すみませんでした。…淋しかったでしょう?」

「ううん、……ありがとう。」


Lの腕の中で、軽く首を振る私。
抱き合ったままでの、会話。
Lの顔は見れないけど、Lの心音、心地良い。
着込んだ浴衣が汚れるのも無視して、そのまま抱き合っていた。


「…仕事なんて押し付けてこれば良かったですね…。」

「駄目だよ、大変なお仕事なんだから…。」

「でも…の浴衣姿見れる方が大事ですから。…似合ってますよ、とても。」

「…ありがとう。」


ゆっくりと解かれた抱擁。
どこか惜しむように緩んだ指先が、嬉しかった。
Lは、私の涙の跡を少し乱暴に拭うと、ゆっくりと微笑んだ。
そのまま軽く頬に口付けを落とす。
軽く触れただけなのに、瞬間でカッと熱くなる身体。
貴方に触れるだけで、想うだけで、溢れるキモチ。





大好き、愛してる。…傍に居て。

それは、言葉にしなくたって、きっと貴方に。





「花火、買ってきたんですよ。あっちでやりませんか?」

「やる。線香花火で競争しよう?」


Lの差し出した手をとって、ゆっくり歩き出す。
少し赤い目で、Lを見ると。
Lは本当に嬉しそうに笑ってくれたから。
言葉にしなくたって、伝わってるでしょう?
言葉でなくても、全身から伝わるでしょう?





大好き、愛してる。…傍に居て。

私は、貴方から離れられないよ。

来年も、その次も…ずっとずっと。





触れるだけのキスを何度も繰り返して。
どちらからとなく、寄り添える位置にいて。










気がついたら、雲から天の川が覗いてた。















今日、という日はいつも移り変わっていく。

時の流れと一緒に寄り添って。

時には速く。時にはゆっくり。

時と一緒に、2人ぼっち。

貴方と私、2人ぼっち。



今日、はやっぱり1日しかないのに。

毎年、同じ日付はやっぱり存在して。

私達は、毎日を過ごして行く中で。

"今日"を、待ち望んでいるよ。

貴方に会える今日を、待ち望んでいるよ。



来年も、その次も…ずっとずっと。

貴方に、会いたいの。





2人ぼっちが、心地良いから。







***あとがきという名の1人反省会***
あっはっは!!(爆笑
どうしましょう!今日8日ですYo!
間に合ってないですよ…書き始めるの遅いんだって、自分の馬鹿ー!(叫
まぁアップはもう少し先だから気にしない(気にしろ

しかもありがちネタの上、L出番ほとんどないです。
こんな主人公語りっぽい夢小説はありですか?(苦笑
途中から甘くしたつもりですけど…果たして糖度は本当に高いんだろうか(遠い目
ご意見、ご感想、苦情等お待ちしています。

それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました!!

2005.7.8 水上 空