「合宿終了ぉぉぉぉぉ!!」

「「「「「お疲れ様〜!!」」」」」


猿野君の大声を合図に、皆一斉にグラスを掲げた。
部屋ではすぐに大宴会が始まる。
辛かった合宿の命の洗濯。
今夜は無礼講、との監督の台詞に皆羽目を外しまくっているようだった。



それを、私と尊は部屋の隅に収まって見物していた。







〜宴会とどどいつ〜







「皆はしゃいでるねぇー…。」

「うむ。…少々怖いくらい也。」

「あっちでは既にお酒の一気飲み始めてるしね。」

「…まぁ、今日は無礼講故…これで良いのかも知れぬな。」

「いや、お酒は駄目だと思う。」

「…そうか。」


部屋に響く大音響にいつ消されるか分からないほどの声。
普段どおり話しているつもりでも、尊の声は上手く聞き取れない。
照れながらも近くで話してくれる尊に寄り添うように、私も顔を寄せる。
と、そこへ部内1番の元気っ子、兎丸君の甲高い声が尊の声に被さってきた。


せんぱーい!!こっちで一緒に遊ぼー?」

「…お酒入ってるね、兎丸君。」


頬を朱に染めた兎丸君は、呂律がギリギリ回っているといった感じで。
私のほうににゅっと現れたと思えば、フワフワと周りを漂う。


「えへへぇー。気持ちいいよーv先輩も飲もー?」

「やめとく。今日はシラフでいたい気分。」

「えー…先輩居ないとつまんないよー。」

「ゴメンね、兎丸君。」


しょんぼりと肩を落とす兎丸君の後姿を見送ると、もう一度尊に向き直る。
脇に取っておいた飲み物に口をつけていた尊は、兎丸君のほうを指差して尋ねる。







「…良かったのか、。」

「ん?あっちに混ざって欲しかったの?」

「否…そういう訳ではないが…。」


そっと伏せられた目線は、私と絡まることは無かったけれど。
瞬間捉えることができた尊の瞳が、淋しそうだったのは見間違いじゃないと思う。
私はその1つだけの確信を持って、尊の肩を叩く。


「尊。」

「…ん?」


上げられた尊の顔に、もう既に淋しさは見つけられなかった。
極力抑えた表情からは、何も伝わってこない。
流石尊、と変な感心をしつつ、私は尊の肩に頬を寄せる。





「問題です!信州信濃の新蕎麦よりも?」



見上げた先、触れるほど尊が近い。



「………あたしゃあんたの傍が良い、か?」

「ん。そゆこと。」





にこっと今出来る最上級の笑みを尊に贈る。
少し頬が染まったのは、ご愛嬌。
普段言いなれない言葉に、照れるのは当然。





「駄目だった?」

「否。………嬉しい也。」







尊も頬を染めたことだし。

誰かにツッコまれたとしても。

お酒に酔ったことにすれば良い。



火照った頬は2人、開き直れば良い。







***あとがきという名の1人反省会***
元拍手の蛇神夢でございますーv
と、何ていうか意味不明な文ですみません(汗
「信州信濃の〜」の文章は、きっと1番意味不明
だったと思います…。
これは、「どどいつ」という言葉遊び?
から拝借したものです。
7・7・7・5の音に合わせて文章を作るものです。
代表としては、
「散切り頭を叩いてみれば 文明開化の音がする」
等があります。
「信州〜」は読んで字の如く、
名物の新蕎麦なんかなくてもあんたが居れば良いって感じで。
ホント、すみませんでした…。

それでは、ここまで読んでいただき有難うございました。

2006.02.15 水上 空(加筆修正:2006.03.28)