「おはよう、健吾ー!」

「よう、。」


朝の挨拶は、ガキの頃から何一つ変わらない。


俺はただ只管に、お前の隣を歩いてた。
ただ、1番近くで笑顔を見ていたかったから。
俺に、笑いかけて欲しかったから。
例えそれが、俺だけに、じゃなくても。

そして、今も。







〜 は る か ぜ 〜







「あ、健吾。今日の英語の課題やってきた?」

「は、何それ。聞いてねぇ!」

「…そか、こないだ天国と乱闘(デュエル)してたもんね。」

「あいつの寝言がな…妙に気になっちまってよ………。」


登校中。
交わす会話は他愛もないことばかり。
学校であったこととか、課題の話とか。

隣を歩くは、至極嬉しそうに話す。
白い歯、キラリ。
朝日を受けて眩しく輝く。





傍に居る以上の幸せ、俺が望んで良い訳がない。
ただ、友達として………親友として。
傍に居たいだけ。

恋心と呼ぶには、まだまだ青臭い想い。
高鳴る心音は、まだ押さえつけることが出来るから。





「えー?何言ってたの、天国は。」

「どうしてくまの●ーさんは猥褻物陳列罪で捕まんねーんだ、とかな。」

「はは、何それ。」

「あいついきなり脱ぎキャラになるからなー。」

「あ…そうね。死活問題なんだろうねっ!」





馬鹿な話で盛り上がって、悪戯とか考えてみたりして。
そんな軽い感じが良い。

屈託のない笑い声、花が咲いたように。
ふとした瞬間に、瞳に映してくれれば良い。
弱い、俺を。





「で、課題見せてくれよ。。」

「仕方ないなぁ。」

「やりっ!サンキュー!」





今のところ、この想いを告げるつもりはない。
親友の座を捨てて、伝える勇気はない。

ただ、俺の言葉に反応してくれることが嬉しくて。
俺の笑顔に、笑顔を返してくれることが嬉しくて。

今は、それだけで。
充分、だなんて、逃げ腰な俺。
それでも、良いか、なんて思っていたりして。



お前が、俺を見なくなることが、………離れることが。
どうしようもなく、怖いから。





「今度何か奢ってよね?」










だけどもし。

春風が俺を突き動かしたら。

心と体が、引きちぎれそうな錯覚を覚えたら。

話だけは、真剣に聞いてくれ。










。」



好きだ。


たったひとこと、それだけ。















「帰りにケーキ奢ってやるよ。」





たったひとこと、それだけ。

の笑顔に、俺もつられて笑った。





はるかぜ、ふわり。







***あとがきという名の1人反省会***
沢松夢は久しぶりー!と言うか、ミスフル
のドリーム自体が久々ですよ。すみません(汗

春風って何となく物凄く強いイメージがあります。
春一番、のイメージでしょうかね。
今回は、春風に強く迷う心を押されたら、
きっと告白するよ。って事が書きたかったり。
今のポジションを捨てても手に入れたくなったら、
って事ですかね〜?何にせよ青い春ですね!

それでは、ここまで読んでいただき有難うございました。

2006.04.01 水上 空