Lの腕の中は暖かくて、居心地が良かった。 抱きしめる腕の力は優しくて。包み込む身体は逞しくて。 規則正しい鼓動はの不安を溶かした。 Lの腕の中で、は今Lと溶けて一つになる…そんな想いを胸に抱いた。 〜眠り姫〜 「……?」 Lはそっと腕の中のに呼びかけた。 つい先ほどまでパソコンに向かい黙々と仕事をしていたLは今更ながら、自分に話し掛ける声がやんでいることに気づいた。 ふとの顔のある位置に視線を戻すと、は可愛らしい寝息をたてながら眠っていた。 「…眠ってしまったのですか…」 苦笑混じりにつぶやく。 その言葉はとても優しく、部屋の中に響き渡った。 仕事中にはいつもろくに会話もせず、Lの口から発せられるのは「あぁ。」とか「そうですか。」の生返事だけだ。 しかも返事があるほうが珍しく、Lは黙って作業を続けている。 今日もその例にもれず、多少の生返事を繰り返していただけである。 それ以前にからのこういう要請すら珍しいもので、Lが仕事をしている最中は気を使って傍によらないことのほうが多いのだ。 普通の恋人同士であってもLほどプライベートな時間が少ない場合はないであろう。 これだけ放っておかれる時間が長ければ、怒るのが普通である。 それなのに、自分を責めたことのない。 「(…は…不満ではないんでしょうか…)」 そんな思いがいつも頭をよぎる。 正直な話、は今まで恋愛に興味のなかったLから見ても惹かれるものがあるほど、可愛らしい。 の笑顔は花のように可憐で、頭もよい。性格だって、人懐っこく、仕草一つ一つが可愛らしいほどなのだ。 …まぁ…恋人の欲目と言えばそうなのかもしれないが… そんなに言い寄る男は数え切れないであろうといつも思う。 「(…それに加えて本人に自覚がないのがまた…)」 「困るんですけどねぇ…私は…」 ため息とともに漏らす。 だから、その隣が。本当に私でいいのかと。 「ん…ぅん…」 身じろぎする。腕に残る衣擦れの感触。暖かな体温。 Lの鼓動は早鐘のごとく早くなる。Lの服をそっと握り締める姿がたまらなく愛らしかった。 すべすべの白い肌。目元に影を落とす長い睫。薄紅色を宿した小さな唇。 の小さく華奢な身体すべてが、Lの本能を揺り動かす。 抱きしめる手は力とともに熱を帯びた。 の身体の甘い香り。今Lを動かしているのはそれだけだった。 …そういえば仕事をはじめて早数時間。自分にしては長い時間甘いものも食べていないな、とふと思う。 普段甘いものが原動力と言わんばかりのLにとってはエネルギー切れ寸前である。 「…キス…眠っている貴女にするのは…反則でしょうか…」 ゆっくりと、惹かれるように。Lはに顔を近づけた。 二人の距離があとほんの数センチまで近づいたところで。 「…ぇ…えるぅ…好…き…」 「え…」 実にタイミングよくは寝言を言った。 一瞬…というか不覚にも数瞬、Lは動くことができなかった。 顔は…真っ赤だ。 「…私も…が好きです。」 嬉しそうに微笑むLの言葉は、に届いたかは分からないけれど。 夢の中のがかすかに微笑んだように見えたから。 Lはそっとの唇に口付けた。 「は御伽話の眠り姫みたいですね。」 思いついたようにLが口にしたから、私は思い切り顔が熱くなってしまった。 …きっと耳まで赤くなっているんだろうな… 照れながら、 「じゃぁLが運命の王子様だね。」 そう笑うと、Lはいっそう嬉しそうな笑みをこぼして。 私を包むようにそっとそっと、抱きしめた。 ―、貴女が私を王子と言ってくれるなら。 今はまだ、頼りないかもしれませんが、いつか。 茨だって、魔女の呪いだって越えられる。 貴女が心から誇れる、そんな王子になりますから。 ―L、あなたがお姫様と言ってくれるなら。 今はまだ、貴方に迷惑をかけてばかりだけど、いつか。 貴方を支える、最高のパートナーとして。 貴方が心から誇れる、そんなお姫様になるから。 ――だから、あなたの傍に 居させてください―― とLはどちらからともなく、唇を寄せ合い、優しくキスをする。 …かくして、眠り姫の呪いは音を立てて崩れたのだった。 王子様とお姫様は新たな物語を紡ぎ続ける。 ***あとがきという名の1人反省会*** まず、最初に。 どうもすみませんでしたァ!!文章が未熟すぎます。(土下座 何を隠そう(隠してたつもりはありませんが)これは水上 空の初の夢小説です。 文章はめちゃくちゃだし何か偽Lですみません。 しかも夢小説なのに主人公さんが出てこない…。 何たる失敗…。 でもまぁ載せてしまいます。 …文章構成等、これから日々精進していきたいと思います。 では、ここまで読んでいただきありがとうございました!! 2004.10.12 水上 空 |