最近よく夢を見る。
そんな朝は、決まって目覚めが悪いんだけど。



夢で見る君は、すでに冷たくて。

俺は、それでも泣いていなくて。



色のないその世界を必死に前を向いて歩いていた。







〜人生プラン〜







大量の寝汗。真っ暗な部屋。





どうやら、まだ夜は明けていないらしい。
ひんやりとした感覚が気持ち悪くてベッドから飛び起きる。
心臓はいまだにばくばくと音を立てながら…静まることはなかった。
眠るとき、確かにそこにあったはずの、隣にいるはずの温もりがなかった。
視線を向けてもそこに人影はなく、シーツの冷たさだけが肌を刺す。


…?」


暗闇に目が慣れて、部屋の中が見渡せるようになった。
部屋をぐるりと見渡してみても、サンジの探す人物は見つからなかった。
目に付くのはルフィやゾロのアホ面ばかり。
悪夢ともいえる夢の後にこんなやつらの面ばかりを目撃しては、サンジの機嫌が悪くなるのは明らかだった。


…どこいったんかな…」


夢の不安が消えないまま、サンジはゆっくり部屋を後にした。
もちろん、ゾロやルフィを思い切り踏みつけて。
この日、ハンモックで寝ていたウソップと、人畜無害なチョッパーにはこの被害はなかった。





船内を必死で駆け回り、の使用した形跡を見つけたのはそれから10分ほどたった後だった。
キッチンで、暖かな湯気を放つやかんを見つけたのだ。
専用にと、サンジが買ってきた新しいマグカップがいっしょに消えていたから、どこかでくつろいでいるのだろうが…
と、言っても。
ゴーイングメリー号はそんなに大きい船ではない。ほとんど探し尽くしたあとだ。
残るところで探していないのは女部屋と甲板。
甲板にがいることを願って、サンジは歩き出した。





…どうにも女部屋は…夜中には余計に入りづらいので。





ー?」


甲板について真っ先に叫ぶ。の姿を見つけることができない。


「(女部屋にいんのか…?)」


よりによって一番行きにくいところに…などと考えていると。


「サーンジー!」


頭上から、見張り台の位置から、声がした。
の声。眼下のサンジに微笑みかけるが、そこに居た。


何も言わずに、一目散に。サンジは見張り台への梯子を上る。
そして。


「さっサンジ!?」


力いっぱい、を抱きしめた。
その表紙にマグカップがごとん…と下に落ちる。
飲みかけだった飲み物が―匂いからするとコーヒーだ―二人の服や顔にしぶきを飛ばして真新しいしみを作った。
の体は、冷たかった。


「サンジ…?どうしたの…」


震えるサンジの体をぎゅぅっと優しく抱きしめる。
最近、サンジが寒さ以外で震えることがあるのは、例の夢を見たときだけだ。


「馬鹿だな…私今日は明け方見張り当番だって言ったでしょ?」

「それでも…心配だったんだよ。」


ダイジョウブ。そう、は笑顔で言った。
それでも、サンジの震えが収まるまで、はずっとその体を抱きしめていた。










どのくらいそうしていたんだろう。
夜の闇を侵食するように、太陽がその領土を広げていく。
もう、サンジが食事の支度を始める時間が近い。


、悪かった…俺、もう平気だから。」

「うん。…今日の朝ご飯はサンジ特製オムレツがいいな♪」


朝日を浴びたの顔は飛び切りの笑顔を宿していた。
その笑顔は、サンジが夜中から探していたものだったから。





「了解。飛び切り美味しいの作ってやるよ。」





サンジも飛び切りの笑顔で、の注文を承った。





「さて…あいつらが起きる前に飯作んねーとな…」

「手伝うよ。サンジ。」


いつもの会話。最近は二人で料理を作ることが多いのだ。
は縮こまっていた体を伸ばす。日差しを浴びて白い肌が光った。


「サンキュ。でもちょっと待って…」


の腕を引き、もう一度、自分のほうに寄せると。





ピチャ…





の頬についていたコーヒーを舐めとった。


「…っ!!」


顔を真っ赤にしているを見て、サンジは笑った。





遠くのほうから


「サンジー!!腹減ったぞー!!」


…とルフィの叫び声。


手をつないで、見張り台を降りた。
今日も騒がしい一日が始まる…







―俺の人生プラン。ゴーイングメリー号に、頼もしい仲間。
 俺の横には、
 こればっかりは絶対に譲れない。
 と一緒に。仲間と一緒に。
 俺は…ここに。

 それが俺の、これからの人生プラン。―







***あとがきという名の1人反省会***
ONE PIECE初ドリィムです!!
何でしょね、この駄作っぷりは。


さん、本当にすみませんでしたァ!!(平謝り


まず、何をおいてもさんの出番が少ないところが駄目ですよね…。
これから、精進していきます。

サンジは未だに特徴がつかめていなくて、書きにくいです。
魅惑の渦巻き眉毛の殿方は難しいです。

サンジは人との繋がりなんて簡単に切れるものだ、みたいな考え持ってそうです。
でもそれでも葛藤して、それでも必死に頑張ってそうで。
水上 空は誰もが応援したくなるような、そんなサンジを書いたつもりです。
まぁ文章能力が理想に追いつかないですが。(威張るな
そんな風に読み取っていただけると幸いです。

それでは、まだまだ未熟な水上 空ですが、これからも見捨てずにお願いいたします!!
ここまで読んでいただきありがとうございました!!

2004.10.13 水上 空