神様仏様、あぁぁ、どうしましょう!

あたし、今ものっ凄い後光さした人物に心臓止められそうです!

あ、もしかしたら心臓破裂かもしんない…!







〜判決を言い渡す!〜







不用意に浴びた後光というものは、
とんでもない破壊力が在るようで、
心臓破裂とまでは至らなかったあたしの心臓は、
100m全力で走ったのかって言わんばかりに騒がしい。

勿論、今は体育の授業じゃなく、此処は教室だし、
テスト前の、ある種戦場みたいな、自習の時間。





では、落ち着いて状況を整理しようじゃないか。

何でこんなに、あたしが死にそうなくらいドキドキしてるのか。





あたしは、今回のテスト、1番古典が危なそうと思っていて、
たまたま隣の席に居た、癒しボーイ栄口に声掛けただけ。
だって、栄口は古典得意だし。説明も丁寧だし、何より優しい。

だから、軽い、そう軽い気持ちで声をかけた。
巣山と一緒に、あたしも教えてーって。





…そしたら、このザマだよチクショウ。

後光の射す笑顔は、破壊力抜群ってか。





振り向いた栄口は、心がほんわかあったかくなるような笑みを携えていて。


「なぁに、。呼んだぁー?」


なんて、可愛く間延びした返事を返してきたのだ。

テスト勉強で荒んだあたしの心には、栄口の癒しオーラは強烈過ぎた。
それ以上に、現状を説明できる言葉をあたしは知らない。


未だに固まったままのあたしは、
それはそれは変な奴、と見られているに違いない。

あわあわと、口からは変な声が漏れてるし。
手も硬直してる感じなのに、ぶるぶる震えてるし。
極めつけ、きっと顔は真っ赤だろうし。


そんな状態のまま、テンパって二の句が繋げられずにいること数秒。
栄口はこれまた可愛らしく小首を傾げ、


、どうかした?何か用事だったよね?」


と、今度は気遣い満点の笑顔を見せる。




そんな事されちゃったら、あたしもっと動けなくなっちゃうから!
可愛いんだよ!男子高校生なのに可愛すぎるんだよォ!





なーんて、言えるはずもなく。


あぁぁ、と、言葉なのかどうかすら、怪しい言葉ばかりがあたしの
口からは零れていくのだけれど、目の前のこの可愛い人は
きょとんとした顔で、私の用件が告げられるのを待っている。

ようやく、無理やり言葉を押し出すようにして、尋ねる。


「あ、とね、さかえ、ぐち。」

「うん、何?」

「あたし、古典わかんなくてさ、教えて、欲しいんだけど。」

「いいよ、オレで分かることなら、遠慮なく聞いて?」







そう言った、君の顔は、もちろん

百 万 ド ル の 笑 顔!







「そんかわり、オレに数学教えてね?!」

「………うん、いいよ!」


机を引っ付けてきた栄口に、飛び切りの笑顔を、私も返した。





(私の心をもてあそぶ、その笑顔は有罪だ!)







***あとがきという名の1人反省会***
栄口君の良い人オーラはきっと荒んだ心には
凶器のように鋭く突き刺さって、簡単にその
心を癒してくれるのでしょう…!って事を
ただただ書きたかっただけです。短くてすみません。

それでは、ここまで読んでいただき有難うございました。

2008.09.27 水上 空