姉ちゃん。」

「どうしたの?ツキタケ君。」


向けられた笑顔は、いつも通り優しい。
それでも、オレは真正面からそれを見れない。



眩し過ぎる。





眩し過ぎて、眩暈がした。







〜片思いの最終形〜







姉ちゃん、兄貴が好きなんでしょ?」

「あー…バレてんだ?」

「…うん………ほんと、分かりやすいよ。」


幸せそうに笑う、姉ちゃんの顔が。
今にもとろけそうで。

見つめる先、そこにはいつも兄貴が居ること。
最初に会った時からずっと。



変わらない、現実。



下唇をかみ締めて、下を向いてみても。
涙が、止まったところで。
現実は、何も変わりはしない。



ふと、目線を姉ちゃんに戻すと、待っていたかのように視線が絡まる。


「ガクにも、バレてるの?」

「ううん。あれで兄貴ニブいからさ。」

「良かった。」


気付いてない。
告げると、安堵の溜息を姉ちゃんは吐く。



兄貴は、きっとこのまま姉ちゃんが告げなければ。
消える、その瞬間まで。
姉ちゃんの気持ちには気付かない。



姉ちゃんへの、兄貴の愛情値は1だけれど。
それは知っているけれど。
きっと、姫乃姉ちゃんが居る限りは。










姉ちゃんの気持ちは、兄貴に気付いてもらえない。















「言わないの?」

「何を?」

「好きだって。」



言えば、変わるかもしれないよ。
兄貴だって、絶対気付くし。



姉ちゃんは、声を上げて笑った。
姫乃姉ちゃんと、兄貴が一緒に振り向く。
視線に気付くと、姉ちゃんは手を振りかえした。


「ヒメノに、夢中な人に言ってもね。」

「そ、か。」


淋しく笑う姉ちゃんを、オレは強いと思った。

オレなんかとは違う、優しい強さを知る。



好きだと、言わない優しさに。
惹かれるオレは、弱いんだろうか。
出来るなら、全身全霊をかけて護りたい。





そう思って、姉ちゃんを後ろから抱きしめた。

不恰好なそれは、どうやっても抱きつくの形で。

小さく聞こえた有難うの声に。

どういうわけだか、涙が出た。





姉ちゃんは兄貴が好き。



オレは姉ちゃんが好き。



伝えないけれど、傍で見守るくらいさせて。



姉ちゃんが、兄貴にそうしているように。








***あとがきという名の1人反省会***
拍手より持ってきたツキタケ君ですv
ツキタケ君はガク大好き。
ガクを慕って一緒に居るあたり、ほんとは凄く強い子
なんだろうという気持ちも込めて書きました。
好きな人が出来ても、ガクが相手なら仕方ない、みたいな。
ガク大好き、好きな人大好きだから身を引くっていう決断を
キッパリ、あっさり貫いてそうです。
あぁ、もう!可愛いっ!(私のでなければなおよし
あ、一瞬アルフィーの「木枯らしに抱かれて」を思い出したよ(苦笑

それでは、ここまで読んでいただき有難うございました。

加筆修正:2006.04.23 水上 空