女の子の気持ちって、難しい。


「ねぇ、ちゃん。」

「なぁに?」

「…手ぇ、繋いでも良い?」

「いいよ?」


僕は、たったこれだけ口にするのも、すっごく勇気がいるんだけれど。
返ってくる返事は、あっさりとした了承だし。
僕の頬、染まってるのを見てまた笑ったり。
そういう素直なとこ、可愛いし、大好きだけど。


あーあ。


すっかり、振り回されてる。
僕、今最高に格好悪い。







〜男の子の気持ち〜







差し出されたちゃんの手を少しだけ握る。
柔らかくって、暖かくって。
隣にちゃんが居ることが、どうしようもなく嬉しくて。
あー…心臓しんどい。


ちゃんの手、暖かいね。」

「そんな事無いよー?」

「ちっちゃくて、フワフワしてるし。」

「あー…そういえば団蔵君のがおっきいね。流石男の子。」


こんなの何でもありません、余裕ですって振舞いたいけど。
僕よりちょっとだけ低いちゃんの顔を見ると…。
それはそれは、幸せそうに笑っている訳で。





今すぐこの場でぎゅぅってしたい。





「…同い年なのに、なぁ。良いなぁー…。」





ちゃんの話は、って言うか声は全て。
全部、物覚えの悪い頭に、詰め込んでおこうなんて考えたり。

僕の手をまじまじ見つめて、凄い凄い言ってるちゃん。
僕の手に、ちゃんの顔が近くて、…顔が茹蛸みたいになったりね。



僕の頭は、どうにかこうにか。
今この瞬間、つじつまを合わせるだけで精一杯。



聞き落としそうになった言葉を拾って。
何とか会話を繋げる。

だって、そうしないと。
ちゃんがどっか行っちゃいそうで怖い。





許されるなら、ちゃんをぎゅぅってしたいんだけど。
あいにく両手はしっかりと捕まってる。
だから、少しだけ抵抗して、ちゃんの手を握る。



フワフワ、気持ちくて。
暖かい、手。





「僕。ちゃんの手、可愛くて大好きだよ?」

「あはは。ありがとー。」


真剣に言ったつもりなんだけど。
何だか軽く流されて…ちゃんは目を逸らした。
同時に、握っていた手も解かれて。


ちゃん………あのさ?」

「え?」


嫌われたくない、そう思って、謝ろうと声をかけた。

ギクシャク、してる訳じゃないんだけど。

ちゃんの肩が震えていて、…やっぱり傷つけちゃったかと思って。










ちゃんを見ると、………顔が、赤くて。

考えていた言葉なんて、一気に忘れちゃった。










「ごめんね?」

「え、どうしたの団蔵く………」















ちゃんが可愛くて。

ぎゅぅってしたくて。

僕だけを見ていて欲しくて。





唇に、触れるだけ。

甘い感触を残して。















ちゃん、可愛いから………ごめんね?」

「ううん、良いよ…、ちょっと、ビックリしただけ。」





離れた時には、ギクシャクした感じが強まってた。





「あっちでさ?えと、みんなと遊ぼうか!」

「…そうだね。」

「いこっ!」

「あ、…待ってッ!」


グラウンドの方から、は組メンバーの明るい声。
ちゃんから距離をとって、僕は走り出す。





ちゃん、早くー!」





途中で振り返って、手を振る。
ちゃんは、着いてきてくれていた。



ドキドキに押しつぶされないよう、笑う僕。

きっと、ちゃんも一緒。

そうだと、良いな。










俯いて真っ赤になった顔。

小さく震える、白い肩。

そういうの、凄く可愛くて。



大事にしたい、そう思った。





男の子の気持ちは、単純明快。

可愛いから触れたくて。
触れたいけど、悲しませたくなくて。
だから、めいっぱい大事にするよ。



触れた唇………まだ熱いなぁ………。





転んで突っ伏したグラウンドでも、まだそんな事考えていたりして。







***あとがきという名の1人反省会***
1万打有難うございます、龍姫さんv
と言う訳で、団蔵君をお届けですー!お待たせしました!
甘めを書こうと意識しつつ、何故か撃沈した感じです(ぇ
団蔵君の恋心ー…ってか、世間一般の男の子
ってこんな感じですかねぇ…相手を大事に思う気持ちって。

突っ走りたいのに、自らブレーキかけて、
でもかかりきらなくて…ごめんねーって感じ。
暴走を抑えるのが大変そうですね…(書くのも大変でした/笑)
何度も暴走させかけて…踏みとどまりましたよ、私(笑

今後とも僕色曜日。及び水上 空をよろしくお願いいたします。
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。

2006.03.29 水上 空