三又のフォークの真ん中の1本、パキリと折れた。
じっと見ていたら、引き込まれそうな形。

殺戮衝動が、今日もまた沸き起こる。

吸血鬼の歯形のような、独特のフォルムが
鈍い光を纏って、僕の手の中に。
小ぶりなそれが、僕の小さな手にはしっくりと馴染んで。
…お似合いだ、薄く微笑んだ。



1番身近な人を殺す。
そう決めて、彼を此処へ呼び出した。
彼は何の疑いもなくすんなりとそれを受け入れ。
1歩1歩、僕の元へとやってくる。
死のカウントを知らずに刻んで。



真っ白な雪が舞い降りる中、僕は彼と対峙する。
利き腕の袖元に隠し持ったフォークは、ほんのりと暖かい。
血の熱さを刻むかのように、いつしか僕より熱くなる。
彼に作り物の笑みだけを向けて、首に腕を回す。
手探りで探し当てた動脈の上に、容赦なくフォークを突き立てる。
何も知らない彼が、微笑んでいる。そして僕も。

これから起こる、情景に胸を躍らせて。

と、そんな僕の行動を制したのは。
僕の動脈を貫いた、私だった。



吹き上がった飛沫が顔に付くのも構わず
僕にしたのと同じように
私は、彼にフォークを振るう。
許してくれと言われる前に、それこそ光速で。
上がった飛沫はまだ熱く、それゆえに綺麗で
白い雪と、私の心を朱に染める。



僕を殺したのと同じように、彼もまた殺した私は
純度の高い、優しさの化身。
僕という名の狂気を止めて、彼という名の悪意を殺す。

それもこれまで。





飛沫を浴びた優しさは、二度と狂気を止めることは出来ない。





私は僕になり、彼を狙う。
繰り返し、繰り返し、逃れることの出来ない運命。
殺戮衝動は湧き上がり、そして消される。



殺しは日々繰り返されていく。

逃れることは出来ない。





〜殺しの無限ループ。〜



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心が病んでいる時に小説書こうとすると、こんなものしか書けなくなる。
私は弱い人間なんです。多分。